高電界パルス印加による牛乳中の大腸菌の生菌率

摘要

現在、液体食品の殺菌方法として、一般的に加熱殺菌法が使われている。生乳では、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令により、「62［°C］～65［°C］で30分間加熱殺菌すること、またはこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌すること」と定められている。加熱殺菌法では、高い殺菌効果が得られるが、加熱によるビタミン類や栄養成分の変性や、食品の風味の劣化、消費エネルギーが大きいという問題がある。加熱殺菌法のこれらの問題を解決するための方法として非加熱殺菌法がある。高電界パルス殺菌法は非加熱殺菌法の1つであり、本研究室や多くの研究機関で殺菌効果が確認されてきた。本報では、高電界パルス印加による牛乳中の大腸菌の殺菌実験を実施し、U. Zimmermannらが提唱する殺菌機構モデルから算出した生菌率と殺菌実験から得られた生菌率の比較を行ったので報告する。