絶縁スペーサモデル電極のSF_6ガス中インパルス沿面フラッシオーバ電圧におけるVolume-time理論による一考察

摘要

ガス絶縁開閉装置（gas insulated switchgear: GIS)の小型化·高性能化·コストダウンは，次世代電力系統の合理的形成には必要不可欠である。現行のGIS絶縁スペーサはエポキシ/マイクロコンポジットが採用されているが，前記のニーズに応えるためには，革新的な打開策が必要となっている。著者らは，この解決策の一つとして新規絶縁材料であるナノ·マイクロコンポジット（Nano-micro composite: NMC) のGIS絶縁スペーサへの適用を検討している。これまで，NMC固体絶縁材料表面を放電起点とした沿面放電モデル電極を用いた0.2 MPaのSF_6ガス中におけるインパルス沿面フラッシオーバ電圧(flashover voltage: FOV)を評価し，ナノサイズのBaTiO_3，TiO_2およびAl_2O_3をマイクロアルミナコンポジットに0.5 vol%あるいは1vol%追加充填するとFOVが2～3%向上することを報告した。本稿では、これらの解釈として放電発生過程における初期電子発生確率に着目したVolume-time理論を用いた理論的なFOVを指定し，固体絶縁材料におけるエネルギー準位を考慮したインパルス沿面フラッシオーバ電圧向上効果の一考察を報告する。