電界印加前後におけるボウタイトリーの変化の画像処理による評価

摘要

地中送電ケーブルとして多く使用されているCVケーブルにおける絶縁破壊の主な要因は、水トリーである。本研究では、この水トリーのうち、半導電層と絶縁体界面の異物や突起の起点として発生するボウタイトリーに着目する。このボウタイトリーからの電気トリーの発生·進展機構については、未だに不明な点が多く、機構解明には発生·進展の特性を知ることが重要である。我々は、実際に使用されたCVケーブルから、ボウタイトリーを含む試料を作成し、それらに追加的な電圧印加を行った前後のボウタイトリーの形状変化や進展の観察を試みた。しかしながら、ボウタイトリーの顕微鏡観察画像が不鮮明なため、電界印加前後の差が不明確であった。そのため、印加前後画像で差分を取り形状変化や進展を客観的に評価することは、画像毎で明度の平均値や分散が異なることにより、困難であった。今回、これらの条件差を小さくするとともにボウタイトリーの輪郭抽出をする画像処理手法の構築を試み、実際の観測結果に適用したので、その結果を報告する。