湿式プロセスによる自動車シュレッダーダスト(ASR)の脱ハロゲン化技術

摘要

自動車は現代社会において必要不可欠な交通手段であり，世界の自動車生産台数は年間9,700万台（2017年）に達している．一方，使用済み自動車(ELV)は，米国で1,200万台（2010年）,欧州連合で60万台（2016年），中国で1,000万台（2017年）発生した．日本においても年間300万台を超えるELVが発生している（2015年：316万台，2016年：310万台）．こうした現状を踏まえて，持続可能な社会システムの構築を目指すための，環境負荷を抑えたELVリサイクル技術システムの整備を進める必要性が高まっている．現在，ELV処理においては再利用可能な部品を取り出した後破砕し，鉄·非鉄金属等素材としてリサイクルできる部分を回収しているが，その後もELV重量の約17%を占める混合廃棄物が残る．この部分がいわゆるシュレッダーダスト(ASR)であり，主に繊維製品，ウレタン，プラスチックおよび微粒子等で構成されている．