コンピュータ「京」を用いた大規模第一原理計算よるシリコン負極－電解液界面の反応解析

摘要

リチウムイオン二次電池の高容量化を実現する負極材料系として，Si系負極材料の研究開発が進められている．Si系負極材は充電過程においてLiイオンの脱溶媒和過程を経てLi と合金化することで高容量を発現するが，高い容量に見合う十分な充電速度の実現の課題や，充放電における大きな体積変化に起因する耐久性についての課題がある．充電速度が高い高耐久性のSi系負極を開発するためには，電解液との界面領域におけるLiイオンの脱溶媒和過程やリチウム合金化，それに伴う構造変化などを広範に理解する必要がある．本研究では，①充電速度に影響を与える因子の一つである，Si負極界面でのLiの脱溶媒和過程、②Si負極の構造変化をもたらすLi挿入過程の2つの過程をターゲットとし、電場制御可能な第一原理分子動力学（第一原理MD）計算法に基づき，各過程を詳細に解析した．