4ch ビームフォーミングによる音源可視化装置の開発

摘要

開発，生産，使用といった段階を通して，自動車をはじめとする工業製品からは様々な音が発生する．着目されるものとしては，例えば動作中の製品やその部品から聞こえる好ましくない異音や，近年その質を問われることの多い人の操作に伴って生じる音などが挙げられるが，それらを低減したい，あるいは改良したいといった要求もまた同時に生まれている．このような問題の解決のためにはまず音の発生源を知る必要があり，音源の位置や分布の理解を視覚的に可能にする"音の可視化技術"が有効なツールとなる．音の可視化技術には，音響インテンシティ法，ビームフォーミング法，音圧マップ，近接場音響ホログラフィなど特徴の異なる手法が存在し，対象となる音の性質に応じて利用できる．可視化される情報やその表現も，音の強さの分布を表すカラーマップや，音の到来方向を示すベクトル表示など様々である．多くの手法がありながら，現場で積極的に利用されにくい理由の一つに，システムの大きさの問題がある．大型システムはハンドリング性が悪く小空間での測定に不向きであるほか，セッティングの負担も大きい．本稿では，大型システムが主流であるビームフォーミング法に既存の少数マイクロホンセンサであるテトラホンを利用し，システムの縮小を実現した内容と，自動車に関連する音への適用事例について述べる．