重量貨物車のリアルワールドにおける環境性能評価: NO_xセンサベースの車載計測器（SEMS)による通常運送業務走行データの収集と解析

摘要

排出ガス規制の強化にもかかわらず，実際の路上走行（リアルワールド）では排出ガスが低減していない車両が存在するとの懸念がある．このことから，環境省中央環境審議会「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について（第十一次報告）」にて，路上走行時に新車認証時の排出ガスレベルが維持されていることを確認する手法として，車載型排出ガス測定システム（PEMS: Portable Emissions Measurement System）を用いる方法について検討する必要がある旨が指摘された．しかしながら，既存のPEMSは本体重量が100kg超と重く，専用電源も必要となることから設置場所の確保が難しく，さらに取り付けおよび操作は専門知識を要するため取り扱いも難しい．このことから，これまでリアルワールドにおける重量車の環境性能を評価するためのツールとして，設置場所を取らずまた取り付けが簡便なNO_xセンサベースの車載計測器（SEMS: Sensor-based Emissions Measurement System）の開発を進めてきた．そして，過報において，SEMSは，デジタル式の運行記録計（デジタコ）に，NO_xセンサ信号や吸入空気量，燃料噴射量等のCAN (Controller Area Network)信号等を取り込むことにより，簡易型PEMSとして用いることができ，リアルワールドにおける重量車の環境性能評価ツールとして使用可能であることを報告した．