自動運転バスの操舵制御設計－根軌跡法による検討と実車による妥当性評価

摘要

わが国の65歳以上人口割合を表す高齢化率は27%を超え，2030年には30%を超えると推測されている.移動弱者が増える中で公共交通の役割は益々重要となり，利便性や速達性の向上が求められる.自動車を含めた交通手段におけるバスの占める割合は3%程度であるが，高齢化率が高くなる今後において，特に地方における需要は高くなると予想される.しかし，現状のバス事業者は民間の7割，公営の9割が赤字という厳しい経営状況に陥っており，中でも人件費が占める割合が高い.また，大型二種免許保有者も高齢化，かつ減少傾向にあり，バスのドライバ不足は社会的課題となりつつある.こうした中で，バスの自動運転化は，上記の課題克服のためにその実現が強く要望されるうえ，車内事故低減を目的としたスムーズな走行や正着による乗降性の向上など，さらなる利便性や快適性を目指す次世代交通(ART)としての期待も大きい.本研究では，バスを自動運転化するうえで必要な操舵制御の設計方法について，実車で得られた結果を元に，根軌跡法により解析し，設計指針を示すことを目指す.