用水路に設置を目的としたマイクロ水力発電装置の提案と実証試験

摘要

水車の利用と研究開発の歴史は古い。設置場所の落差と流量に見合った適正な水車形式も概ね知ることができる。本報で扱っている農業用等の開水路落差工に設置を目的とする水車の場合、一般に落差は小さいが、流量は田植え時期に極めて大きい。このような場所には軸流型水車が適している。この事例を代表する水車には「ハイドロアグリ」ある。一方、マイクロ水車を用水路に設置した著者等の実験では、マイクロ水車の最大の障害はゴミの流入であった。水路に設置する水車の場合は、水車前方に防塵スクリーンを設け、定期的に除塵する方法が多いようである。しかしながら、水車が住居や農作業等で頻繁に訪れる場所から遠いなどで、十分にメンテナンスが行き届かないことも考えられる。そこで著者等は、防塵スクリーンを必要としない水車をとして、ケーシングを用いないクロスフロー水車を提案し、適正な羽根形状を追及した。この水車は、上掛け水車と似ているが、水流が水車内を横切ので「オープンクロスフロー型」と呼hで区別している。落差と流量から考えられる適正水車形状の枠内では、落差と流量共に小さいマイクロ水力発電領域にあたる。本報は、現在実施している本水車の実際の用水路における実証試験の概要と用水路の利用に関する問題を示す。