上肢·認知機能訓練用e-Pegの開発：第2報

摘要

我が国では現在，高齢化が急激に進hでおり，脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患に罹患する高齢者が増加している．厚生労働省によると，治療や経過観察，リハビリテーション（以下，リハビリ）等のために通院している患者数は，2017年時点で112万人と推計され，65歳以上では104万人であり，今後も増加傾向にある．このように，脳血管疾患発症後に何らかの後遺症を残したまま在宅生活を送る患者は多く存在する．特に，リハビリを集中的に行う回復期リハビリテーション病棟において理学療法，作業療法，言語聴覚療法などのリハビリを受けることができる期間は疾患ごとに定められており，脳血管疾患では診断より180日であり，平均滞在日数は約70日と報告されている．長い入院生活の中で，患者がリハビリへの高いモチベーションを保つことは容易ではない．一方，回復期リハビリテーション病棟においてモチベーションが高い患者の方が機能的自立度評価法FIM（Functional Independence Measure）の得点がより改善したという報告や，物理療法にゲーミフィケーションの要素を加えることで，リハビリを継続できたという報告がある．このように，長期間のリハビリでは楽しさを加えながら，訓練へのモチベーションを維持することが重要と考えられる．