GPS測位におけるガウス和フィルタを用いた異常値検出とその有用性について

摘要

GPS(Global Positioning System) は，擬似距離や搬送波位相積算値と呼ばれる観測量(衛星·受信機間距離) に基づいて測位が行われる．これらの観測量には，マルチパスやサイクルスリップなど, 様々な要因により異常値が生じることがあり，航法の高精度化のためには，これらの異常値を検出し除去することが重要となる．異常値の検出においては，各種の統計的検出方法を適用したアルゴリズムが提案されているが[1]，これらのアルゴリズムでは，正常な受信状態における観測雑音はガウス性白色雑音であるとの仮定に基づいたものが一般的である．一方，GPS 測位における観測雑音については，その確率密度関数が複数のガウス分布の重み付き和でより良く表現されることが近年の解析により明らかにされてきた[2]．そこで，本研究では，観測雑音がガウス和分布をもつ場合の近似最適フィルタを用いた異常値検出アルゴリズムについて考察する．