PEFC における傾斜マイクログルーブを用いた微細多孔体からガスチャネルへの排水性向上

摘要

固体高分子形燃料電池(PEFC)のカソード側ガス拡散層（GDL）においては,電極間に発生する水を適切に排出させ, GDL 内あるいはガスチャネル側表面での液水の過度の滞留を防ぐ必要がある．このような場合には,GDL からの排出水あるいは上流からの液水流れを適切に制御し,GDL 表面に液水を滞留させない工夫が有効であると考えられ,ガスチャネルの配置を変化させた研究が多くなされているがチャネル壁の構造による液水排除効果を図る研究は少ない．そこで本研究は,GDL 表面とセパレータから構成されるガスチャネルにおける湿分制御の方法として,図1に示すようなガスチャネルの側面壁及び上面壁に,ガス流に対して傾斜させたぬれ性のマイクログルーブを設ける方式を提案する．すなわち,表面張力およびガスチャネルを流れる空気のせh断力を利用してGDL 表面から排出される液水およびチャネル上流からの流水をGDL に付着しないようにマイクログルーブを通して移動させる方法について検討し,排水性能を向上させることを目的とする．前報では傾斜角度θ が30°のグルーブを用いて実験を行い,ガス流速を増加すると,グルーブ内の液水表面流速も増加することを示した．本報ではグルーブの傾斜角度を変化させ,傾斜角度がガスチャネルの排水性能に与える影響を実験的に検討した．