サービスロボットのための透明柔軟樹脂外装の安全性と意匠性の評価

摘要

近年，人間と同じ空間で活動する人間共存型ロボットの需要が高まっている．それに伴い，つくばチャレンジ[1]やロボット特区［2］をはじめとした実証実験が盛hに行われている．我々は人間共存型の移動式サービスロボットに着目し，実証実験を通してその安全性に関する研究を行ってきた［3］．我々はサービスロボットの安全性と市民に受け入れられる意匠性を同時に確保するために，適切な形状の外装を装着することを考えた．そして，開発したロボットが十分な性能と安全性·意匠性を両立していることを示した［4］．しかしながら，外装を堅牢な構造としたために，ロボットと壁などの間における挟み込みの発生を想起させるとの指摘があった．そこで我々は，ロボットの視覚的·物理的な安全性をより向上させるために，素材と工法を変更した新たな外装を開発した[5]．この外装は透明樹脂（PET）を真空成型法［6］によって加工したものである．透明部分の内側に外界センサを収納し，安全性の向上を狙っている．本稿では，本研究室で開発された柔軟な樹脂製外装を装着したロボットを対象とし，その安全性と意匠性を評価すると共に今後の課題に関して明らかにすることを目的とする．評価方法は，外装に対する荷重試験とアンケートである．