新生児蘇生法トレーニング·システムの開発：新生児に近い外見と多数のセンサを有する気道管理シミュレータの設計·製作

摘要

現在，小児科や救急医療において医師不足が問題となっており，「質が高く効率的な医療提供体制の構築」が緊急の課題となっている［1］．質の高い人材を確保するため，医学教育の分野では見学型から参加型への転換が進められており，シミュレーション訓練も普及しつつある．シミュレーション訓練には大きく分けて，健常者が演じる模擬患者を用いる方法と，マネキンシミュレータを用いる方法がある．模擬患者は問診の訓練などに適しているが，危険を伴う手技を訓練することはできない．そのため，静脈採血や気管挿管などの侵襲的な手技は，マネキンシミュレータでの訓練が一般的である［2］．また，マネキンシミュレータは同じ条件で繰り返し訓練可能であるため，新生児蘇生や腹腔鏡下手術のように臨床実習では十分な経験をすることが困難な内容の訓練に適している．一方で従来のマネキンシミュレータには，合併症に繋がる誤操作を指摘する機能がない．そのため，現状では訓練者へのフィードバックは指導者に依存しており，繰り返し訓練の質·量を確保する上で制約となっている．