笑いを通じた人間とロボットのインタラクションに関する研究（第3報：気質に基づいたロボットのキャラ表現）

摘要

働き手世代に見られるストレス性疾患やうつ病，高齢者に見られる認知症など，精神疾患の患者数は年々増加傾向にある．ここで，抗うつ状態の抑制，不安·緊張·痛みの緩和，痴呆症状進行の抑制，ストレス軽減など「笑い」の心理的な健康増進効果を示唆する研究結果は，医学や心理学を中心に多数報告されている［1］．しかし，人間の笑い誘発メカニズムは未解明であり，効率的な笑い誘発刺激の作成は難しい．これが「笑い」の健康増進への活用を妨げている．演者らはロボット技術の適用により，定量的な笑い誘発刺激の作成，笑い反応の定量計測という視点から笑い誘発メカニズム解明に向けた研究に取り組hできた．ロボットによる人間の笑い誘発に関する研究には言語を用いた漫才によるものがある[2,3]．しかし，言語情報は一般的に文化的背景に依存している．演者らは文化的背景によらず幅広い人々の笑いを誘発できる非言語情報であるロボットの全身表現による笑い誘発に注目している．