単身高齢者と地域をつなぐ福祉社会の後押し支援システムモデルの検証

摘要

高齢化によって生じる社会の課題は山積するが，孤独死問題もその一つである．高齢者の孤立や孤独が特徴となっている痛ましいこの社会現象は，今後も高齢者の増加に伴い，高齢者の孤立予備軍を含め共に孤立·孤独世帯が増加し，孤独死といわれる発生率も増加傾向にある[1]．この課題に対して国や地方自治体は様々な対応策を講じているが，日本の高齢化の速度に追いついていないのが現状である．本研究活動はこれらの施策の一つとして神奈川県と共同で進めてきた孤独死対策に関する研究として，その対策や抑制のための手法を模索するための一つの試みである．そこで筆者らは“高齢者を見守り地域社会とつなげる現実的で持続性が期待できるセンサシステム”と“単身の高齢者を支える社会のネットワークモデル”を提案し，社会実験による検証をめざしてこれまで研究を行ってきた[2]．本稿は，高齢者向け低費養護老人ホーム内における高齢者の社会で本提案のシステムを適用し，そこで構築された高齢者を支援するネットワークと本提案の社会モデルとを比較検討する．