虚実皮膜論的動きで人との親和性を向上させるロボットの新構造～伝統芸能“文楽人形”の動きをロボットに最適化する研究を通して

摘要

今後普及する人間共存型ロボットにおいて、人とのコミュニケーションは双方の親和性を向上する上で最も重要な要素である。それには、“意味”だけでなく“感情”の伝達が求められる。本研究では、ロボットから人へ感情を的確にフィードバックする技術に焦点をあて研究を進めた。感情と表情に関する先駆的な研究を行ったP·エクマンは、感情は主に顔に表れると報告している。当面の量産される人間共存型ロボットにおいて、顔の動きだけで微妙な感情を表現し伝達する技術はコスト的にも難しく、他の技術が求められている。そこで伝統芸能「文楽」において、顔以外で巧みな感情表現を行う文楽人形の身体動作を研究分析し、ロボットに最適な感情表現のモーションパターン基本法則を抽出することができた。17世紀、近松門左衛門が提唱した人形浄瑠璃における「虚実皮膜論」的な動きが明らかになった。この動きをロボットに実装し最適化できる新構造（骨格の伸縮）を有するロボットの仮説を立て、CGアニメ検証で精度を高めた。今後は実機検証へ移行し、感情豊かなロボットを先駆けて世に出したい。