パルスレーザー粘度計を用いた血液粘性率センシングに関する研究－広範囲なヘマトクリットの全血粘性率および血漿粘性率の測定

摘要

血液の流動特性を表す重要なパラメータの一つとして，粘性率が挙げられる．血液粘性率に関する研究は，細管粘度計や回転粘度計を用いて古くから行われてきた．その中で，血液粘性率と脳梗塞や心筋梗塞といった各種疾患との間には相関関係があることが明らかとなっている．このため臨床検査項目の一つとして血液粘性率の測定を行うことは意義があるといえる．臨床検査として血液粘性率のセンシングを行うためには，迅速な測定，微量サンプル量での測定，検体と非接触な測定の3点を満たした測定手法が求められる．しかしこれらの要求をすべて満たした測定装置は今まで無かった．そこで本研究室では，これらの要求を満たしたパルスレーザー粘度計PLV：Pulsed Laser Viscometer）の開発を進めてきた．本報では血液粘性率に特有の傾向である，ヘマトクリット(Hct：血中における赤血球の占める体積割合）依存性をまず検知し，次にヒト由来の血漿タンパク質濃度変化が粘性率にもたらす影響を検知した．