小型発電機の排気ガスを利用した海水淡水化蒸留器の実験

摘要

世界には, 衛生的な飲料水を確保することが困難な地域が多く残されており, 汚染された水の摂取による健康被害は, 発展途上国において深刻な問題である．また, このような地域においては送電インフラも不十分であることが多く, 小型発電機が集落で唯一の電力源として使用されることが多い．また, 地震などの災害時においては, 飲料水および電力は必要不可欠であるため, この両者を確保する手段に対する潜在需要は非常に高い．著者らはこれまでに, 電力および飲料水を供給できる簡易な装置の開発を念頭におき, 家庭用小型発電機から排出される排気ガスを熱源として利用する, 小型の海水淡水化蒸留器を考案し, その蒸留特性を数値シミュレーション計算によって明らかにした．その結果, 本蒸留器は, 家庭用小型発電機を数時間運転することにより, 数十kgの飲料水を造水することができることを明らかにした．本研究では, 本蒸留器を製作し, 家庭用小型発電機から排出される排気ガスを用いて実験を行い, その結果を数値シミュレーション計算結果と比較·検討した．