風力を利用した小型海水淡水化蒸留器の定常実験

摘要

本報では，風力熱変換を利用した小型海水淡水化蒸留器の蒸留性能を明らかにするため，実験室内の簡易風洞を用いて風速を変化させることにより，風車の軸動力すなわち蒸留器内部で発生する摩擦熱エネルギーの差異が蒸留性能に及ぼす影響についての実験を行い，得られた結果を理論計算結果と比較·検討した．なお，本報では，蒸留器内部の回転軸動力が摩擦熱エネルギーに良好に変換されること，および発生した摩擦熱に見合う蒸留が行なわれているかを確認することを主な目的としたため，風車は最適に設計された風車（ローター周転直径およびブレードの枚数に適応した設計周速比で，最適な弦長およびピッチ角分布を有する風車）ではなく，入手が容易な市販の風車を転用した．また，蒸留器は多重効用（蒸発·凝縮の過程が蒸留器内部で複数回繰り返される）ではなく，単効用（蒸発·凝縮の過程は1回のみ）で実験を行った．