旧厚生省時代の大気汚染データの改ざhに起因する大気汚染行政の実態とその改革の必要性

摘要

はじめに 1967 年当時の公害行政を担当していた旧厚生省は1967 年4 月の東京都衛生研究所に設置していた国設大気汚染測定局のオキシダント月間最高値0.25ppm を0.13ppm に改竄した。このオキシダントデータは深夜の2 時に発生したもので光化学オキシダントではない。当時のオキシダント計がNO の約20％をオキシダントとして計測するものであったのでこれはシアンの燃焼処理施設から発生した1.25ppm の高濃度NO を示すものであった。改ざhしたのは行政当局で当時のアメリカの光化学オキシダントの基準値が0.15ppm であったためこれを超えると困ると考えたからである。また同時に国設大原自動車排ガス局の1968 年と69 年のNO データを半分に改竄した。これは上述の改竄とNOの測定値が矛盾することを恐れたからであろう。当時の環境庁大気保全局長の橋本道夫氏は0.13ppm の値を改竄されたとは知らずに自身の交通専門誌に書いた論文に引用している。裸の王様である。行政の最高責任者が改ざhされていることを知らないという極めて憂慮すべき事態が当時から存在した。1970 年7 月18 日に“いわゆる光化学スモッグ”の重症被害事件が発生した。光化学スモッグは広域の事件で本来当時の厚生省が扱うべき課題であったが、東京都の公害研究所の公害部長のO 氏に専ら代弁させていた。また東京の事件が自動車の排ガスが原因であるアメリカのロスアンゼルス型光化学スモッグと異なっていることが後に判明するが事件の直後からロスアンゼルス型と決めつけて情報操作をしていたことが明らかである。この事件以前の6 月28 日に同様の事件が千葉県西海岸地域で発生していたが新聞には殆ど報道されなかった。これは政府の意図があったと推察される。革新自治体の東京都も政府に騙された結果となった。