負荷側エンコーダを用いた軸トルク制御による減速機方式インホイールモータの振動抑制

摘要

電気自動車は走行中に温室効果ガスを排出しないことから，環境問題への意識が高まってきた現在において注目されている技術である。一方，航続距離が短いという問題点を抱えており，走行中ワイヤレス給電の研究や電気自動車搭載用の高効率なパワーエレクトロニクスシステムに関する研究などが行われている。このように電気自動車は環境の面から注目されることが多いが，その制御性能の高さも特筆すべきである。電気自動車の動力源はモータであり，内燃機関と比較すると100 倍ほど速い応答を示す。電気自動車におけるモータの配置方法は2 つに分けられ，動力源が車上にあるものをオンボード方式，車輪内部にあるものをインホイールモータ方式と呼ぶ。オンボード方式ではモータがドライブシャフトを介してホイールを駆動するため，ドライブシャフトの共振により制御帯域が制限される。一方，インホイールモータ方式はドライブシャフトがなく，高帯域な制御が可能であるという利点をもつ。これまでインホイールモータの高い制御性能を活かした車両運動制御の研究が行われてきたが，これらの研究はモータとホイールの間にギアを含まないダイレクトドライブ方式インホイールモータの使用を想定している。しかし，高トルク・省スペース・低コストといった要求を考えると，ギアを含む減速機方式インホイールモータの使用が望まれている。