SrTiO_3 中のTiSr アンチサイト欠陥のマルチフェロイクス特性と電気磁気効果に関する第一原理解析

摘要

強誘電性と磁性を同時に示す材料はマルチフェロイクス(Multiferroics)と呼ばれる1)．マルチフェロイクスでは強誘電性と磁性は同時に存在するだけでなく，静電場に対して分極のみならず磁気モーメントが，静磁場に対して磁気モーメントのみならず分極が応答を示し，相互作用する（電気磁気効果）．そのため，マルチフェロイクスは次世代集積デバイスへの応用が期待されている2)．集積デバイスの高性能化のためにはその構成要素を小型化することが重要である．しかしながら，強誘電性と磁性は構造体のサイズが数ナノメートルの臨界サイズ以下になると，表面に生じる反電場や反磁場の影響により消失することが知られいる3)．したがって，材料を加工することにより，臨界サイズ以下の原子スケールマルチフェロイクスを作製することは物理的に不可能である．