中国四川省瀘州市において酒造業の発達が都市形成に与えた影響

摘要

一つの伝統産業によって町が発展する事例はよく見られる。中国においては伝統産業が国有化される特徴がある。前近代から町に根付いた伝統産業は中華人民共和国の成立とその後の長い時間の計画経済政策によって国有化され、経営方式と運命が変わった。瀘州市は前近代から酒造業が発達していた町であった。明清（ 1573～1911）の時の酒造り工房の窖が現代までずっと使い続けられ、現代瀘州市の発展に大きな影響を与えている。瀘州市の酒造業の特徴を考察し、酒造業が都市形成に与えた影響を分析する。そしてその産業と都市の結びつき方のメカニズムとその変容を主に都市空間の観点から解明することが本研究の目的である。瀘州市の歴史と酒造業の発展の特徴に基づいて中華人民共和国建国前（～1949年）、建国後から「瀘州市酒産業集中発展区域」建設前（ 1949～2006年）、「瀘州市酒産業集中発展区域」建設後（ 2006年以降）の3つの時期を分けられるが、本稿は建国以後の時期についての分析を行う。