インドの病院列車における医療活動の実態:モバイル・ホスピタルのフィージビリティ2

摘要

前稿に引き続き、インドの病院列車の観察から日本版モバイル・ホスピタルの実現性を技術、コスト、運用、制度といった様々な視点から検討する。病院列車の研究は第1 次世界大戦以後の計画や事例報告が中心だが、19 世紀後半に米国の各鉄道事業者が線路敷設労働者の治療のために病院列車を運行していた。インドのNPO「Impact India」が所有運営する病院列車Lifeline Express 号（以下L 号）で、インド国内を巡回しながら無料で医療を提供している。1991 年の運行開始から2 代目の車両である。2013 年3 月11 日から4 月6 日までインド中部Shivpuri駅で第142 回目の診療をするL 号の医療諸室寸法と搭載医療機器の実測をするとともに、運行と医療活動内容について院長とスタッフへインタビューを行った。