市民参加型緑化活動が地域に及ぼす効果についての研究その1:東京都特別区の事例調査を基とした被災地域復興への提案

摘要

本研究は、東日本大震災からの地域復興のために、被災地の地域の関係性を新構築・整備するためのツールとして、市民参加型緑化活動（以下：緑化活動）の利用を推奨するものである。現在、復興支援に緑を利用した活動は多くあるが、長期的な「支援後の地域への影響の確認」や「緑の維持・管理等の運営面の援助」を行っている団体はほとhどない。また、「地縁組織」が機能していた震災前の被災地では、「地域の繋がりを構築する」必要はなかったため、被災地住民には「地域の繋がり構築」を目的とした緑化活動の運営方法の知識が少ないことが予測される。そうなると、慣れない緑化活動の運営が地域の新たな負担になる恐れがある。地域復興のための緑化活動を持続可能にするには、「地域の繋がり構築」を目的に行われている既存の緑化活動を参考に活動設定を行う必要があるのではないか。一方、東京都では地縁・血縁が希薄化し、地域の住民間の繋がりが形成されにくい状況になっており、地域の抱える課題に適切に対応できなくなると不安視されている。その解決策として、東京都では積極的に『地域の関係性を構築する』ための緑化活動を取り組hでいる傾向がある。そこで、本研究では東京都特別区内の緑化活動の運営方法を、被災地の地域復興に応用できるのではという仮説を立て、東京都特別区の緑化活動に関する調査結果を基礎に、被災地域復興のための緑化活動の効果的な運営方法を提案することを目的とした。