遊離尾垂木と登り梁の関連性に関する再考察:浄土寺浄土堂と広勝寺諸殿の比較を中心に

摘要

浄土寺浄土堂（鎌倉、1192、図１）に用いられる遊離尾垂木は、大仏様建築の特徴の１つで、日本建築の構造において特異な存在である。ほかには、東大寺南大門（鎌倉、1199）、東大寺開山堂内陣（鎌倉、1200）が挙げられる。この部材の由来に関する考察は、大仏様の源流ひいては中世日本の建築の源流を考える上で重要である。