山上からの眺望景観把握にともなう回頭行動に関する研究:大文字山と高取山からの眺望景観を対象として

摘要

本報は人間の眺望景観把握における回頭行動の関与を明らかにする試みである。樋口による景観研究以降，山上から都市を望む眺望景観をさまざまな研究分野において学際的に把握する動きが現在まで続いている。しかしながら街路景観などと比較すると，水平方向への視野の拡がりが大きくなる眺望景観において，必然的に発生するであろう回頭行動についてはこれまで活発な議論はおこなわれてこなかった。その理由としては現地実験ではなく実験室内でのシミュレーション実験が多数であったことがあげられよう。よって本研究はGIBSONの知見に基づき，回頭行動を積極的な景観把握行為と位置づけた上で，山上からの眺望景観を対象に現地実験を行い，眺望景観と対峙した際の初期段階における回頭行動の定量的把握を目的とする。