保育施設から発生する音に関する意識調査:既に施設からの音の影響を受けている場合とそうでない場合との比較

摘要

普段生活する住居での音環境が,何らかの外的要因によって変化する可能性があると知った時，人は今の音環境が保全されなくなる不安などから，抵抗感を示す場合がある。都市部を中心とした待機児童解消の対策の一つである保育施設の新設に対する近隣住民の反応も，それに基づいていると推測される。すべての人にとって，良好な音環境は守られるべきものであり，そのために環境基本法の騒音に係る環境基準が定められている。一方，保育施設から発生している音に関しては，子どもの声などを環境基準が評価の対象とする音から除外するという条例が東京都で制定された。環境基準の評価対象から除外され，許容されるべきとされた「子どもの声」とは，どれほどの大きさでどのくらいの頻度で発生しているのか。保育施設の音を普段耳にしない住民にとっては，『よくわからないもの』に対する不安が生じるであろうことは想像に難くない。