逆線引きの全国的な運用実態に関する研究: 兵庫県神戸市を詳細調査対象都市として

摘要

区域区分制度は、市街化区域に都市機能や人口を誘導するとともに、市街化調整区域において不必要な開発を抑制する効果がある。しかし、制度の運用が適切になされずに市街化区域の範囲が過大である場合には、市街化区域内での建築物の乱立やスプロールが発生する危険性がある。実際に、人口増加を長期的かつ過大に見積もったことが、広い市街化区域指定につながり、市街化区域内でのスプロールを許容し、その抑止を目的とする区域区分が有効に機能しないという状況が発生したと指摘されている。さらに、人口減少・少子高齢化社会においては、都市の拡大が現状の都市問題の悪化や、生活利便性の低下、行財政の疲弊につながっている。そのため、社会情勢に適応して、計画的な都市の縮小や、人口や都市機能を誘導するために適切な都市計画制度の運用が必須である。その手法の1 つとして、市街化区域を市街化調整区域へと編入する「逆線引き」があり、人口減少に対応した適切な市街化の範囲を定めることが可能になると考えられる。