メソポタミア先史建築史における研究史: 考古学と建築学の融合のための試論

摘要

現在、西洋建築史における先史建築の扱われ方は西洋建築図集や建築学体系で示されるように、６０年代から大きな変化は見られない。数多くの遺構の発掘や調査が考古学研究者によって進hでいるが、建築史の研究者がほとhど直接発掘に関わっていないことが挙げられる。既往研究として1959 年に小林文次によって著された「建築の誕生」がある。この論考では先史建築の建築的研究の余地を示したが、英語で出版されなかったことも起因し世界的に認知されなかった。小林が示唆した研究の可能性と問題１）は現在も解決に至っていない。また、現在先史における建築の内容を牽引しているのは考古学ということも加え今後の建築史学が先史時代の建築にどのようにかかわるかも問題である。このような状況で建築学的にこれらの遺構をどう扱っていくかを考えるためにこれまでの研究の経緯を中心に検討加えてみたい。