適合細分化格子ボルツマン法を用いた噴流により浮遊するピンポン玉のシミュレーション

摘要

上に向けてドライヤーの風を出し，その上でピンポン 球を放すとピンポン球は落ちることなく浮遊する.ピン ボン球が安定して浮遊する理由はまだ十分に理解されて おらず，この現象に関する実験的研究により噴流中の球 に作用する抗カは一様流中の球と大きく異なることが報告されている.Neveらは噴流ノズルと球の距離を変えて 抗カを測定し，球がノズルに近いと距離によらず球に作 用する抗カは一定になるが，ノズルからの距離が離れる と乱流が弱まり抗力が距離の-1.8乗で下がることを示し たひまた，Lopez-Ariasらは噴流の中心軸から球をずらして抗カを測定し，噴流の流入口が球よりも太いか細い かにより球に作用する抗力の傾向が変わり，流入口が太 い場合はジェットの中央で抗力の極大値が発生するが， ジェットが細い場合は中央に極小値があることを実験か ら明らかにした.このように，噴流中の球の抗カはレ イノルズ数だけでなく， ノズルと球の位置関係やノズル の大きさにも影響される.