自動鉄筋結束ロボットの開発:車輪形状の変更と移動性能の向上

摘要

これまで，様々な業界で労働力の確保や労働環境の改善を目指してロボット技術による自動化が行われてきた，特に工場などの決められた作業エリア内で繰り返し単純作業のみを行うような場合には，産業用ロボットが活躍している．しかしながら，建設業界などでは依然としてその多くの作業が人手作業によるものであり，人手不足が深刻化している．その原因の一つとして，建設作業の性質上構造物は基本的に周囲の環境に合わせて施工されることが挙げられ，鉄筋結束作業を例に上げると現場ごとに柱や壁，鉄筋，鉄筋用スペーサなどの形状や位置関係が異なることなどが自動化を検討する際に大きな課題となる．先に開発した自動鉄筋結束ロボットでは現場ごとの環境変化の比較的少ない構造物を利用した移動方法[1] を提案することでこの問題を克服した. 本ロボットは単調な作業となるスラブの鉄筋結束作業を自動で行うことで，限られた現場労働力の有効活用を目的としたものである．本論文は実証実験を通して確認された問題点を解決するために新たに考案した機構について論述するものである．