画像処理と深層学習を用いた古代文献の解読と整理

摘要

古代文献には歴史変遷、気候変化、自然災害などが大量に記載されている。古代文献の解読と整理は、政治、経済、文化の理解、自然災害の分析と予測などの分野において非常に重要である。しかし、これらの古代文献には、未解読のものが大量に存在し、また、次々と新たに発見され、これらの古代文献の解読と整理は難航している。その理由としては、古代文献は書体の変化とともに、いろいろな書体に書かれている。しかし、現在、コンピュータの応用範囲の拡大することにより、古代文献で使用された古代文字は極めて少ない専門家しか読めないケースが多くなってきた。例えば、3000年前、中国の殷商時代に占卜で使われていた甲骨文字、2000年までに中国秦の時代で使われた篆書、また、中国や日本では、文字を速く書くように、使用されたくずし文字などが挙げられる。現在、これらの書体はあまり使われていなく、読める人も非常に少ない。さらに、これらの古代文献は経年劣化により、文字の欠損、ぼやけなどが生じているため、古代文字の認識、文献の解読と整理の難しさを増している。