強化学習を用いた調整力市場における供給事業者の入札行動分析

摘要

太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー電源の普及拡大に伴い，電力系統の需給調整における不確実性が増加し，電力系統の柔軟性の強化が世界的に重要な課題となりつつある。電力自由化が一層進展する中で，調整力を取り扱う市場も多くの国で構築されてきている。例えば市場成熟度が高い欧州では，調整力が容量とエネルギーの双方の観点から取引されている。調整力のエネルギー市場では，その落札方式として“Uniform-Price”オークションならびに“Pay-as-Bid”オークションが広く採用されている。調整力市場のメカニズムは，経済効率的に調整力を確保するために，需給調整を担う系統運用者(TS0)の総支払額の高騰を避けるべきという観点と，より多くの市場参加者の参入を確保するために，十分な利益が市場参加者に配分されるべきという観点との双方を，適切に考慮する必要があると考えられる。