従来の試験場で測定ができない機器の放射妨害波測定に関する一検討

摘要

現在のCISPR規格では，電子機器等からの放射妨害波測定は，オープンサイトや電波暗室の中で行うことが規定されている.しかし，測定対象が大型機器で重量がターンテーブルの耐荷重を超える等の理由により，従来の試験場で放射妨害波測定ができないものについての測定法が要望されている.本研究では，工場等のように比較的高い天井がある場所での30MHz-1 GHz帯の放射妨害波測定を想定し，高さ方向の受信アンテナ走査を限定したサイト·アツテネーシヨン(SA)を用いて天井の影響をシミュレーションで評価した.その結果、高さ4mの天井(完全反射を想定)がある場合，従来の3 m試験場での測定値(理論値)との差異は60 MHz以上1 GHz以下で約±4 dB以内で収まることが分かった.しかしながら，30-60 MHz以下の領域では，天井と地面からの反射の影響が大きく，SAの差異が10 dBを超える可能性があることが分かった.