第一原理計算とスパッタ成膜による FeCoVNの bct構造安定性の評価

摘要

現状では薄膜でのみ実現されているFeCo基合金のbct構造について、バルク体での形成の可否を議論するために、安定な結晶構造に関する評価を第一原理計算で実施し、その結果をスパッタ成膜実験の結果と比較した。その結果、計算ではFeCo-VNの軸比c/a=1.25付近のbct構造が最安定となる結果が得られ、実験的にもその結果が裏付けられた。次いで、FeCo基合金磁石のさらなる高性能化の指針を得るために、計算によって磁気特性の組成依存性を調べた結果、高K_u化の観点からはFe:Co=50:50付近のbct構造が有望であること、また高M_s化の観点からはFe:Co=70:30付近でVN同時添加されたFeCo-VNのbct構造が有望であることがわかつた。