「祠堂記」にみる元代の祠堂について:朱熹『家礼』の受容を事例として

摘要

太廟は君主の祖先を祭り、家廟は大臣や官僚、名門の一族が祖先を祭り、庶人は寝室に祖先を祭った。宋代以降、社会が変化する中で祭祀制度が改められていき、身分を象徴していた家廟制度は瓦解していった。そして、しだいに庶民の祠堂が普及していくが、その契機となったのは南宋・朱熹『家礼』の存在であり、家族儀礼に大きく関わってきた。その受容の過程で元代の状況については不明な点が多い。