ミニ開発住宅地における車庫の評価と都市型住宅としての可能性

摘要

都市という人々が集まって生活を行う場において、都市住居の形式は様々なものが模索されてきた。大阪では戦前より長屋が供給されてきた。長屋の共同性、接地性といった形態的特性が大阪の住文化を形成し、持続的都市住居のモデルの一つとして普及した。その後1970 年代、低層高密の長屋にとってかわりミニ開発住宅地ⅰが登場し、数多くの供給が見られる。ミニ開発住宅地は、狭小なオープンスペース、劣悪な相隣関係、地域Context からの乖離などから密集市街地の再生産として批判の対象となっている。反面、都心周辺に立地する車庫付戸建住宅として現代の住要求に即した特性を付加して浸透しており、今日大量に供給されている無機的で均質かつ、地域から遊離された分譲マンションとは対照的な接地性、個別性、人間性、自律性を有する都市型住宅として見ることもできる。