広島県の観光景観画像に対する心理的評価に関する研究その17－詳細情報の付与が日本人と中国人による観光行動の評価に及ぼす影響の比較

摘要

筆者らは広く内外の観光客の誘致に資する知見の獲得を意図して、広島県の複数の観光地を対象に、訪問前や実際に観光地を訪れた後の観光客の印象評価を検討する研究を進めてきた。その一環として既報では、中国人被験者を対象として、観光地に関する詳細な情報をパンフレット形式で付与した被験者と、付与しない被験者2）との現場実験の結果を比較した。ここで、現場実験とはキャプション評価実験と実空間評価実験からなり、前者は実際の観光行動を想定し、観光地内で被験者が興味や関心を抱く要素を撮影させ、自由記述による回答を求める実験であり、後者はキャプション評価実験後に観光地に対する全体的な印象を求める実験である。既報1）では観光地に関する知識をほとhどもたない中国人の被験者の結果を報告したが、事前にある程度の知識を有する日本人では結果の異なることが予想される。したがって本報では、中国人と比較して観光地に関する知識を有する日本人を被験者として、既報と同様のパンフレットを付与しての現場実験を行い、詳細情報の付与が評価結果に及ぼす影響の両者における差異を検討することを目的とする。