地域コミュニティの醸成を目指した低年齢児保育の場

摘要

幼稚園を運営している法人が認定こども園に移行するため新設された分園である。園児定員は0 歳児3 名、1 歳児14 名、計17 名で、2 歳児以上は本園で保育が行われる。敷地は田hぼと住宅が入り混じった閑静な住宅地にあるため、そのスケール感に配慮し、建物を木造平屋建てとした。また、シンプルな切妻の瓦屋根とし、この地域における風景の指標となることを目指した。敷地の四隅を地域に開くため、建物配置を雁行させ、地域コミュニティが醸成されるきっかけとなるよう意図した。具体的には、地域の外部空間、園と地域の交流空間、園児のための外部空間など、性質が異なる４つの庭を創出した。また、想定洪水浸水位を意識し、床高さを前面道路より約1 ｍ高くした。これにより、園と地域の交流を促す東南の庭はゆるやかな斜面となり、植栽された庭を園児が登降園するアプローチ空間となっている。また、西南の庭は、駐車スペースに面するデッキスペースで、道路と高低差があるため開放感が保たれている。また、深い庇があるため、雨の多い北陸でも保育室から半屋外部分まで活動範囲を広げることができる。北西の庭は、急勾配で起伏があり、活動的な遊びが展開できる。また、デッキが軒下にあることで、雨に濡れずに保育室と遊戯室を行き来できる。園児が日常的に滞在する西側の保育スペースと、一時利用が多い東側の多目的スペースは、その境界を明確に分けつつ、回遊できる動線計画とし、活動の連携を妨げないよう配慮している。