微小重力天体近傍における宇宙機の軌道?姿勢カップリング 運動の安定解

摘要

小惑星や彗星などの微小重力天体をターゲットにした探査ミッションが，近年盛hに行われている．これらのミッションにおいて，太陽輻射圧（SRP: Solar Radiation Pressure）と小天体の形状に起因する不均一な重力場（図1, [1]）の影響で，小天体周りの宇宙機の軌道運動?姿勢運動は強く乱される[2]． このような小天体周りの特徴的なダイナミクスを理解するため，数多くの研究がなされている． 軌道運動に関しては，SRP摂動と重力高次項による摂動が主要な摂動源となり，安定した周回を妨げる．この問題に対する一般的なアプローチは，摂動下でも軌道要素が変化しないような太陽同期軌道（凍結軌道）を適用することである．太陽同期軌道は図2の左図に示している通り，太陽-小惑星-宇宙機軌道の幾何関係が常に一定となるような軌道である．先行研究において，SRPと重力高次項の影響が共に支配的であっても，太陽同期軌道を達成し得ることが示されている[3-5]．姿勢運動も同様に，SRPトルクと高次項を含む重力傾斜トルクが姿勢運動を大きく変化させる．過去の研究で，歪な小惑星周りの姿勢運動が解析されており，これらのトルクが姿勢運動に大きく影響することが明らかにされた[6-8]．