ハギア?ソフィア大聖堂の屋内外環境が壁画劣化に及ぼす影響:その２ 壁体構成、方位の違いが壁体内含水率に及ぼす影響の検討

摘要

トルコのイスタンブールにあるハギア?ソフィア大聖堂では、塩の析出などにより内壁の劣化が進hでおり、これは壁体内の水分移動などが影響していると考えられる。ハギア?ソフィア大聖堂は、地上階、ギャラリー階、第２コーニス、ドームコーニスの４階で構成されており、 2008年にビザンチン時代の建設当時の外壁面の再現を目的として西側の外装モルタルを剥がした。ギャラリー階や第２コーニス部分では、特に西側部分のほぼ全面に見られる表面塗装の剥落に加え、一部では下地材の剥離も確認され、そのメカニズムの解明が急務である。既報1)では、現地調査により第２コーニスの内壁の劣化程度と内壁表面含水率の相関性が高いこと、数値解析により降水がレンガ壁体の含水率上昇に影響を及ぼすことを明らかにした。本報では、 2012年9月に行った含水率分布と内外壁状態の現地調査結果を検討し、壁体構成、方位の違いが、壁体の水分移動に及ぼす影響を熱水分移動解析により検討する。