圧電振動型触覚センサによる滑り方向の検出

摘要

本稿では，圧電振動型センサ素子をPDMS に埋め込み，柔軟な素材で全体を支える柔軟構造の触覚センサを用いた滑り検出実験を行った．はじめに突起の滑り方向に応じて，センサ出力変化の増減の傾向に違いがあることがわかった．したがって，単一のセンサ素子で滑り方向を検出することが可能である．また，センサ表面の人肌ゲル内に剛体である金属球を挿入し，センサ素子と球体を直接接触させるセンサ構造を提案した．これにより柔らかい人肌ゲルでは困難なセンサ素子との明確な接触状態を確保した．本センサを取り付けたハンドグリッパを用いて，物体の挟み込みから滑りを発生させた．この結果，滑りが起きた方向によって，出力変化の増減の傾向に違いが生じた．したがって，単一のセンサで平らな物体の滑り方向の検出が可能である．センサ素子をアレイ化することで物体の回転方向や回転，軸回転量などの推定に応用できると考えられる．