3 つの一方向結合された半導体レーザにおける帯域拡大カオスとエントロピーの数値計算

摘要

乱数は情報セキュリティの暗号などに広く利用されており、近年の情報化社会において、その重要性はより一層高まっている。しかしながら一般的に利用されている擬似乱数は周期性や再現性が存在し、これはセキュリティ応用における脅威となり得る。そこで、周期性や再現性のない物理乱数が注目されている。現在、Gb/s を越える物理乱数生成方式として、半導体レーザカオスを用いた方式が提案されている[1]。さらに、複数の半導体レーザを一方向に結合することで広帯域な信号を得る帯域拡大カオスが提案されており、1.2 Tb/s の乱数生成速度が達成されている[2]。これらの手法においては、生成された乱数列に対する統計的評価によるランダム性の保証がされている。しかしながら、統計的評価は乱数生成処理における擬似乱数的な効果を含んでいる。そのため、物理乱数源の非再現性に対する保証にはならず、物理乱数としての優位性が失われている可能性がある[3]。