環境汚染物質の除去を目指したゲル型マイクロモータの構築

摘要

自然環境下には，微小ながらも自立駆動し様々な仕事を こなす生物，分子構造が多数存在している。これら天然のナ ノ •マイクロマシンは，多様な機能によって自然現象や生物 の生命活動を支えている。その高度な機能を人工的に模倣 することで，細胞工学や医療工学への応用が見込まれるだ けでなく ，未だ人知の及ばない生命活動や微小構造の駆動 機構の解明にもつながることが期待される。現在，微小な構rn造体を自立駆動させるナノ•マイクロモータの研究が盛ん に行われており，これまで白金，金等の金属材料を構成素材 とした，モータの開発が中心に行われてきた(1)(2)。これらの モータは一定環境中で周囲のエネルギーを運動エネルギー に変換して駆動することが可能であり，一部，物質の運搬や 分別など多様な仕事をこなすモータも報告されている(3)(4)。 しカゝし，金属材料は，環境中への残存性に問題が残る。さら に，目的によってはその微小性よりも運動•捕獲性能が重要 視されるケースも多い。そこで，本研究では機能付与が容易 であり，かつ優れた物質運搬能力が見込まれるポリマーゲ ルを本体として用いることにより，マイクロモータの構築 を試みた。さらに，その構築に铸型を用いた手法を用いるこ とで，モータの簡便かつ一括での作製を試みた。さらに，モ 一タの挙動解析のほか，磁性粒子をモータ内に担持させる ことによる運動方向制御も試みた。