アルド·ロッシの類推概念における宗教的イメージ 論考「見えない距離」における伊勢神宮のイメージ論の分析

摘要

20世紀後半を代表する建築家の一人であるアルド·口 ッシは、画家としてドローイング作品を描き、建築理論 家·大学教授として多くの論文や著作を残し、多面的な 活動によって特徴づけられる。既往研究では、ロッシの 政治的理念と建築造形の関係性を論じられることが多い が、イタリア共産党員としてのイデオロギーと関連付け られ、彼の宗教的理念については殆ど触れられない。筆者は、1970年代のァノレド·口ッシのドローイングの 分析を通じて、〈宗教〉のモチーフが建築造形に関わって いたことを示した。研究は口ッシの伊勢神宮(神宮）の 来訪時の言説を扱う。具体的には1989年の来日時の印象 を記したロッシの手稿と、同年に発表した論考「見えない距離[Le distanze invisibli」のテキスト読解を通じて、口ッシの類推概念における宗教的理念の一端を明らかにす る。訳文は全て筆者による。