「参加型景観」の特性と評価:「参加型景観」によって表出する情景の創出に関する研究（その2）

摘要

本報では,前報で行った「参加型景観」の定義に基づき,収集した多数の事例の基本特性や,類型パターンとの関係性について分析してきた.その結果,「参加型景観」といえる景観の特性が明らかになった.まず参加タイプとして,「イベント・日常」と「ヒト・モノ」という2 つの型で表すことができることがわかった. また景観構成要素の分類と分析より,「参加型景観」がどのような空間で成立しうるのかということや,どの構成要素が景観の中で主となりうるのかということが明らかになった.そして,類型パターンと「イベント・日常」や「ヒト・モノ」という参加タイプとの関連性をみると,それぞれの型は,大別した3 つのパターンで表すことができ,パターンの占める割合によって,どのような特徴があるかということも明らかになった.これらのことから,情景に積極的な意味をもつ像を創出するためには,主体A や主体B が働きかけやすい空間をつくる必要があり,それらが今後まちづくりに「参加型景観」を新たな計画要素として組み込むことへの足がかりとなるのではないかと考える．