近地・中間項を考慮した強震動シミュレーション法の検証と断層近傍のフリングステップに関する一考察

摘要

2016 年熊本地震本震では断層近傍で多くの強震動が記録され，特に断層ごく近傍で震度7 を記録した益城町と西原村では図1 のような大きなフリングステップが観測されている．これらは特に断層近傍で卓越する近地・中間項によるものと考えられるが，経験的，統計的手法による強震動シミュレーションではこれらの項は一般的には考慮されていない．そこで，本研究では近地・中間項を含めた2016 年熊本地震本震の強震動を再現することを目的とし，本稿では，その準備として野津(2006)1)による簡易的な近地・中間項の導入法の解析解との比較による検証と震源の広がりと各項の永久変位への寄与に関する基礎的検討の結果について述べる．