中間径フィラメントが高転移性マウス乳癌細胞株の弾性率に与える影響

摘要

中間径フィラメントの一種であるネスチンは、高転移性の癌細胞で高発現であることが報告されており、癌細胞の転移性に関与することが明らかとなっている。また、同じ中間径フィラメントのビメンチンは、ネスチンと共重合繊維を形成し、アクチンとの結合ドメインを持つことが明らかとなっており、上皮間葉転換のマーカーとして知られている。これまでに我々は、高転移性マウス乳癌細胞株FP10SC2 を用いてネスチン破壊株を作製することで同タンパク質の機能解析を行ってきた。FP10SC2 とネスチン破壊株をマウスに尾静脈投与することで転移性を評価した結果、ネスチンの破壊により細胞の転移性が低下することが確認された。しかし、ネスチン、ビメンチンが癌細胞の転移性にどのように寄与するか、そのメカニズムは明らかとなっていない。